生成AIとは?DXとの関連は?活用の広がりが期待される技術

ChatGPTなどの生成AIを、仕事やプライベートで活用しはじめた人も多いのではないでしょうか。生成AIは、情報の正確性に不安の声はあるものの、テキストや画像、音声で、驚くほど自然なものが作成できるようになっています。

これらの高度な生成AIは今後、どのように発展・活用されていくのでしょうか?また、ビジネスの中で、生成AIがDXにどう絡んでいくのかを紹介します。

生成AIとは

生成AI(ジェネレーティブAI)は、近年特に注目を集めている技術です。2010年代中盤にディープラーニングの進歩により一般的になり始め、自然言語生成(Natural language generation)や画像生成、音声生成など多くの分野でその利用が拡大しています。

自然言語生成技術としては、OpenAIによる ChatGPT がよく知られています。Webページや電子書籍など、大量のテキストデータを学習し、活用例は会話やブログ記事作成のほか、翻訳や、プログラムの生成など多岐にわたります。

ChatGPTについてわかりやすい記事はこちら≫ChatGPTとは?使い方や仕組みから、リスクと対策までわかりやすく紹介

画像生成の分野では、GAN(Generative Adversarial Networks)が2010年代後半から注目されています。特にNVIDIAのStyleGAN3は、非常にリアルな人物の顔を生成できることで知られています。

音声生成の分野でも、Google Cloud Text-to-Speech (TTS) APIなどが有名で、人間の音声に非常に近い音声を生成することができます。

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは

DXとは、デジタル技術を利用して、自社の製品やサービス、ビジネスモデル、そして組織のあり方までを変革し、顧客に新しい価値を提供する取り組みです。

業務のデジタル化やデータの活用を中心とし、変化の激しいビジネス環境に対し競争優位性を確立することが目的です。

DXについて詳しい説明はこちらの記事をご覧ください。

【徹底解説】DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?必要性から成功事例まで

DXを推進するには、ビッグデータ、AI、IoTをはじめとする技術が欠かせません。生成AI技術も、そのうちの一つと言えます。

こちらの記事も参照

IoTとDXはどう違う?ICT・AI・RPAとの違いも紹介

生成AIとDXはどう関連するのか

生成AIの活用は、さまざまな分野で広がりを見せています。

  • コンテンツ生成
    生成AIは、記事、レポート、ブログ投稿などのテキストコンテンツを生成するのに使用されます。これにより、企業はコンテンツ制作の時間とコストを大幅に削減することができます。
  • デザインとアート
    生成AIは、ウェブサイトのデザインや、アート作品の生成にも使用されます。AIは、人間のデザイナーやアーティストが作成した作品を学習し、それに基づいた新たな作品を生成します。
  • パーソナライゼーション
    生成AIは、個々のユーザーの行動や嗜好に基づいたパーソナライズされたコンテンツを生成するのにも使用されます。これにより、企業は顧客エンゲージメントを向上させ、顧客満足度を高めることができます。
  • データ分析
    生成AIは、大量のデータを効率的に分析し、有用な洞察を提供するのにも使用されます。これにより、企業はデータドリブン型の意思決定を行うことができます。

これらの生成AIは、DX推進のツールとして、以下のような形で活用のメリットが期待できます。

  • 効率性と生産性の向上
    文章の作成、デザイン案の生成、画像や音楽の生成など、これまで、ある程度の専門知識が必要な業務について、それほど時間をかけず、複数のアイデアの提案を得たり、作業をすることができます。時間とリソースは大幅に削減でき、業務プロセスの生産性が向上します。
  • 新しいビジネスモデルの創出
    生成AIを組み込んだサービスは、すでに出現しています。例えば、パーソナライズされたコンテンツを生成したり、デザインを提案するなどです。
  • 意思決定の支援
    生成AIと予測AIを活用すれば、データを解析し、将来の傾向を予測するモデルが作れるでしょう。この予測に基づいて、人は迅速な意思決定が可能になり、戦略立案などに役立てられます。

生成AIは、DXを推進するための重要なツールとなる可能性があります。生成AIのビジネス活用は、ますます広がりを見せるに違いありません。

AIの活用については以下の記事も参照ください。

【最新版】AIの業界別・技術別活用事例を紹介!

生成AIの業務への貢献

業務現場で生成AIを活用できる場面や可能性は色々あります。わかりやすいところでは、会議の議事録作成、コールセンターの会話ログ作成、コンテンツ制作の効率化や、新たな発想のデザイン製作などです。

生成AIを業務で活用することにより、以下のメリットが得られるでしょう。

  • コスト削減
    生成AIは、コンテンツ作成やカスタマーサポートなどの業務で、人による作業の手間を大幅に削減することができます。結果、人件費を節約することができ、他の重要な業務にリソースを割くことができます。
  • 生産性向上
    人と違い、生成AIは必要に応じて、24時間365日稼働できます。作業処理速度が人の比ではないことは、いわずもがなです。数多くこなしている人の業務の中に生成AIを取り入れることで、これまでなかった視点のアイデアに気づいたり、処理が捗ることで業務の生産性向上が期待できます。
  • 顧客満足度向上
    生成AIを用いて、カスタマーサービスを提供することも可能です。顧客からの問い合わせに対して素早く、一貫した応答をすることにより、顧客満足度が向上するでしょう。

DXの視点で言うと、デジタル化した業務であればRPAと生成AIを組み合わせることも一つのアイデアです。人が行うルーティン業務を自動化するRPAと、クリエイティブなタスクを担える生成AIの特長を活用し、一業務の効率化にとどまらず企業全体の生産性を向上させることができます。

RPAとAIを組み合わせた事例はこちらでも紹介しています。

事例あり!RPA×AIは自動化を進化させDX推進にもつながる

業務で試してみたい、生成AIの種類

すでに業務で活用している方も多いChatGPTのほか、業務の効率化や創造性の向上に役立つ生成AIは以下の通りです。

テキスト生成AI(例:ChatGPT)

テキスト生成AIは、自然言語処理を使ってテキストを生成します。質問への回答、記事やレポートの作成、メールの自動生成などが含まれます。特に、GPT-4などは高度な会話能力や文脈理解を持ち、多様な業務に応用できます。

画像生成AI(例:Stable Diffusion)

画像生成AIは、テキストの説明から画像を生成する能力を持っています。広告デザイン、製品のコンセプトアート、プレゼンテーション用のビジュアル素材作成などに使用できます。

音声生成AI(例:WaveNet)

音声生成AIは、テキストを自然な音声に変換します。カスタマーサポートの自動化、オーディオブックの生成、マルチメディアコンテンツの製作などに利用されます。

音楽生成AI(例:Suno AI)

音楽生成AIは、特定のスタイルやパラメータに基づいて音楽を作成します。映像作品のサウンドトラック制作、BGMのカスタマイズ、音楽教育のサポートなどに使われます。

データ分析AI

データ分析AIは、大量のデータを処理し、傾向やパターンを分析します。市場分析、顧客行動の予測、リスク管理などの分野で重要な役割を果たします。

生成AIの活用は、業務の生産性と質の向上が期待できる

現時点では、企業における生成AIの業務活用はAI戦略や規定などが整い次第、というところが多く、ユニークな活用事例は、近い将来目にすることができるでしょう。 生成AIは有能ですが、人の仕事に置き換えるというよりも協働を目指したいところです。そうすることで、より質の高い業務を遂行し、顧客に対して新たな製品やサービスの提供が可能になります。DX推進の一つのツールとして活用の検討を進めてみましょう。